自分はどの楽器を担当するのか。吹奏楽部の新入部員にとって、その後の運命を左右するかもしれない一大事だ。
人気、実力ともトップクラスのサクソフォン奏者上野耕平さん(32)や、読売日本交響楽団首席オーボエ奏者の荒木奏美さん(31)は、実は同じ指導者の仲立ちで、楽器と出会った。指導者は、新入部員と楽器を、どうマッチングしたらいいのか。何人ものプロ奏者を導いた、茨城県東海村の村立舟石川小学校吹奏楽部の元顧問、板橋幸子さん(64)に聞いた。
楽器と仲良くなれるように
――2004年の東日本学校吹奏楽大会で、板橋さんが顧問を務めた舟石川小のメンバーには、吹奏楽ファンなら知らない人はいない奏者が並んでいました。
6年生に上野耕平くん、5年生に荒木奏美さんがいました。この年の部員約100人のうち4人が東京芸大に進み、演奏家として活躍しています。
――上野さんは、板橋さんのことを「誰がどの楽器に向くか瞬時に見分ける先生」と話していました。
どうでしょう。2年生で入部した時、上野くんはトランペット志望、荒木さんはクラリネットでした。
――誰をどの楽器にするか、どうやって決めていたのですか。
本人の希望が優先ですが、小…